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【 体験実話 】男の不妊治療物語 第二話 | 不妊治療のステップと消えない偏見

 

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男の不妊治療物語 第一話 | 精子特性分析一回目「卵子に到達できない精子」からお読みください。)

1.顕微授精とは何か

ここで顕微授精とは何かを、これから不妊治療をはじめる方に説明しておきたい。

 

不妊治療には大きくわけて4つのステップがある。

 

ひとつめは、タイミング。

これは文字通り、女性が妊娠しやすいタイミングを医師が計算し、それに従って交渉を持つという比較的原始的な治療法。

 

二つめは、人工授精。

あらかじめ採取した精子を妊娠しやすいタイミングを見計らってスポイトみたいなもので女性器へ注入し、その後は自然着床を目指す治療法。

 

三つめは体外受精。

いわゆる試験管ベイビーのはしりで、あらかじめ採取した卵子の上から精子をかけ、試験管の中での授精を目指す治療法。鮭の産卵をイメージするとわかりやすいかもしれない。

 

そして四つめが、我が家が選択した顕微受精。

あらかじめ採取した精子の中から優秀なものを一匹ずつ取り出し、それを採取済みの優秀な卵子に針で穴をあけ注入する治療法。

はじめて聞いた時、あまりにも先進的すぎてショックを受けた。

特に数億あるという精子の中から優秀なものを選び出し、尻尾をピンセットで捕獲するなんて話は、ちょっと異次元の話すぎて「ほえー」と感嘆の声をあげたことを覚えている。

 

(詳細を知りたい方は先進治療.netの「不妊治療の流れと種類 大切なのは二人で取り組むこと」という東邦大学医学部産科婦人科学講座教授の片桐由起子先生が書かれた記事を読むと、よりわかりやすく丁寧に説明されています。)

 

2.不妊治療を他人に言えない現実

「不妊治療はじめたって、まだ誰にも言わないでね」

不妊治療を開始してすぐに僕は妻にこう釘をさされた。

その理由は21世紀にはいってかなり経ち、平成という時代もまもなく終わるというのに、世の中には依然として不妊治療に対する偏見が満ちているからだ。

 

「どうせうまくいかないだろ」

「金持ちだからやってるんだろ」

そんな誹謗中傷ならまだ自分たちのことだけに我慢できるが、子どもたちに対してもその偏見の矛先が向かうケースがある。

「あのこ、人工なんだって」

「大丈夫なの?そんな形で生まれた子ども?」

こんな声は実際に現実世界でもネット上にも腐るほど転がっている。

特に妊娠出産を経験した女性に、そのようなこころない発言をするひとが多いように感じる。

ひどいものになると「そんなの人間じゃない」なんてものまである。

 

僕は思うよ。

妊娠し出産するということに、自然妊娠とそうじゃない差がそんなにあるのだろうかと。

そもそも不妊治療をしているひとは、金を払って楽して妊娠しようとしてるんじゃない。

金を払って、ホルモン剤を投与され、苦しみ、自己否定の連続を味わい、それでも妊娠できるかわからない不安と戦っているんだ。

そんな不妊治療の現実を知らずして、そんなことを言って欲しくない。

 

だから僕たち夫婦も不妊治療をはじめたことを周囲にもずっと黙っていた。

妊娠出産を経ても黙っていた。親にも黙っていた。

が、今回このような記事を書こうと思い立ったのは、そんな偏見が世の中からすこしでもなくなってほしいと思うからだ。

そして、不妊治療に非協力的な男性にすこしでも妻の気持ちに寄り添うきっかけになってもらえればと思うからだ。

 

不妊治療は孤独な戦いだ。

誰にも愚痴を言えないし、理解してもらえない戦いだ。

だからこそ夫婦ふたりで支え合わずして乗り越えていけない。

そして、その絆が無駄になることはきっとない。

そう信じないとやっていけないくらいキツい現実が僕を待っていた。

 

(つづく)

 

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 (夫婦の会話についての記事は↓コチラになります。)

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