イクジー48

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NHKの集金人は二度ベルを鳴らす | 謎理論の応酬の果てに辿り着いた不毛の大地

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地デジ開始とともに始まったNHK解約生活

2011年7月24日。

日本におけるテレビ放送がアナログから地上波デジタルへ完全移行したこの日に、俺はテレビを捨てた。

映像の仕事をしているのにテレビを捨てる、テレビを見ないということに、当時の俺は若干の迷いを感じずにはいられなかったが、新しいテレビを買う金もなかったし「ま、見なくても問題ないっしょ」なんて軽い気持ちでテレビのない生活に突入した。

 

それから5年ほどテレビのない生活(NHK解約生活)を送った訳だが、その間に何度かNHKの集金人とのバトルがあった。

今回は、そのバトルの中でも最も理不尽な言いがかりをつけられたバトルを振り返ってみたいと思う。

(尚、2016年に引っ越しをした際にテレビのある生活にもどり、現在はNHKにBS含め加入済みである。)

 

 

 

NHKの集金はいつも夜に現れる

あれは確か、週末の夜だったと思う。

家の中でひとり読書をしていた時、玄関のチャイムが鳴った。

ピンポーン♪

一人暮らし歴の長い諸兄はお分かりだろうが、基本はチャイムには居留守を使うのが常識だ。雨の日には新興宗教、風の日にはマルチの勧誘。チャイムというものは常に不吉な出来事を呼んでくる呼び鈴として認識するのが、現代日本の常識である。

しかも、ここはオートロック付きマンション。

居留守がばれるなんてことはない。

はずだった。

 

ドンドンドンッ

強い意志を持った力で、玄関のドアが叩かれる。

まるで、俺が借金を踏み倒しているかのようなその勢いに、ちょっと怒りがこみ上げ、玄関のドアを開けに向かった。

「おい!いま何時だと思ってんだよ、つかなんだよ、お前」

俺なりにかなりの勢いでドアを開けて突っかかったのだが、ドアの向こうにいた若者は動じる素振りもみせずにこう応対した。

「すいません、NHKです」

んなことわかってるよ。

週末の夜にこんなことをしてくるのはお前らしかいない。

 

 

テレビなしを確認し引き下がる集金人

「うち、テレビないって何度も言ってるけど」

マンションの廊下に声が響くのを少し気にしながらも、イラつきが収まらない俺はすこし棘のある口調で集金人の若者に答えた。

しかし彼は、にこやかに淡々と話をつづける。

「まあ、そうおっしゃる方も多いのですが、今のままですと約3年分の料金に延滞金が加算されまして◯◯万円のご請求をさせていただくことになります」

これぞ馬耳東風ってやつだ。 

 取り立てるという意識がある奴は、相手の意見なんてまるで信用しない。

たとえそれが真実であったとしてもだ。

 

「じゃ、中に入って確認しなよ、本当にテレビないからさ」

めんどくさくなった俺は集金人をマンションの中へ誘う。

本来はそんな必要性もないし、オートロックの建物の中に住人の許可を得ずに入ってくるこのNHKの集金人のやり方に問題があるのもわかっていたが、そんな理屈を述べてもどうせ馬の耳に念仏だ。「ないものはない」と口頭で説明しても引き下がらない奴には現実、いや真実を見せるのが一番早い。

 

 

集金人の上司が展開する謎理論との応酬

 「本当にすいませんでした」と、集金人の若者が頭をさげて引き下がった翌日の午後。

仕事中に見知らぬ番号からの電話が鳴った。

新規顧客からの電話かと、すこし背筋を伸ばして電話にでたのだが、そんな淡い期待はすぐに消え去った。

電話の主は、昨日の若者の上司と名乗る男。

しかも、鼻から喧嘩腰と来たもんだ。

やれやれだぜ…

 

「お宅にテレビがないことは昨日確認させて頂きましたが、それがNHK受信料を支払わなくてもいいという理由にはならないんですよ」

上司と名乗るその男はこう切り出した。

「え?おっしゃる意味がわかりかねるのですが」

俺はイラつきを押さえ込み、冷静に切り返す。

「お宅の部屋をNHKの電波が通っている以上、受像機器の有無が問題なのではなく、電波利用料が発生するのです」

「ナ、ナンダッテー!!!」

 

え?ちょっと待ってくれ…

俺が何を言っているのかわからないと思うが、俺もこの瞬間、奴が何を言っているのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。が、この時起こったことをありのままに話すぜ。

 

NHK集金業者の謎理論

・電波を受信可能な状態である以上、NHKへの支払い義務が生じる

・部屋の中を電波が通っている以上、NHKへの支払い義務が生じる

・電波受像機器の有無は関係ないと、法律に記載されている

(江東区のNHK集金業者が実際に発した言葉)

 

「ほう、初耳ですね。私の許可なく勝手に部屋の中に電波を通しているのはそちら様で、古来より空間所有権利者に通行税を支払うのが通例だと私は認識しておりますが」

目には目を。謎理論には謎理論を。

俺も自分で何を言ってるのかわからなくなってきたが、売り言葉には買い言葉だ。

極めて冷静に、俺も謎理論を展開し、自称上司を追い込んでいく。

「そんな屁理屈は通りませんよ」

自称上司も俺の謎理論にイラついたのか、語気が少し荒くなる。

「屁理屈は通らなくても、電波は勝手に私の部屋を通ってる訳ですよね」

「ですね。よって、あなたには支払い義務が生じると」

「いやいや、通行税をいただきたいのはこちらだって話をしているのですが」

「なにをバカな話を」

「バカな話を仕掛けてこられたのは、貴殿の方ですが」

 まあ、こんな1円にもならない応酬をつづけること約30分。

そして「いまの会話、すべて録音させていただきました」と告げた俺の言葉で、この不毛な戦いの幕は下りた。

完全勝利。

しかし、虚しい風が心の中を吹き抜ける。

またくだらぬ屁理屈をこねてしまった…実に無駄な時間だ。

 

 

NHKの集金人は二度ベルを鳴らす

翌日の夜9時。

再度、マンションのチャイムが鳴った。

「誰だよ、こんな夜遅くに」と毒づきながらドアホンのボタンを押すと、先日の若者の声が聞こえた。

「夜分遅くにすいません、先日お話しをさせていただきましたNHKの者ですが」

「はい、ご用件はなんでしょうか」

「昨日の上司の電話の内容について謝罪をしたいと思いまして」

「いやいや、いいですよ。もう済んだことですし、君が悪い訳ではないし」

「いえいえ、それでは僕の気持ちが収まりません。少しだけでもお願いします」

ま、そんな流れでドアを開け、彼の話を聞くことになった。

 

集金人の若者の発言

・上司には受像機がない故、契約義務がないことを伝達した

・上司の電話を横で聴いていて、正直、嫌悪感が湧いた

・本日の謝罪は個人の意思であり、転職する決意を固めた

 

「こんなことで転職するなんて、なんか悪いことしちゃったね、俺」

「いえいえ、以前から考えていたことです」

「それならいいけど」

「あの言い方はないですよ。法律違反もいいとこですし、正直愛想がつきました」

そう告げると、彼は下町の路地に消えていった。

 

大変な仕事だ。

俺は彼の後ろ姿を見送りながらそう思った。

こんな夜遅くまで毎日足を動かし、人に罵られ、上司にも恵まれない。

本当に大変な仕事だ。理解できる。

それでも人は生きていくために働かねばならない。

しかしまた、人には働くことでしか得られない充足感や満足感があるのも事実だ。

 

どの道を歩むかは、

あなたがどこに行きたいか

によって決まる

by ルイス・キャロル

 

 

俺はそんなことを思いながら、しばらく彼の消えた暗い路地を見つめていた。

そして一人冷たい夜風に吹かれながら、なんかすっきりしない苦虫を噛み潰した。(おわり)

 

(注:この記事はNHK解約や料金不払いを推奨するものではありません。私自身は、2016年に引っ越しをした際にテレビのある生活にもどり、現在はNHKにBS含め加入済みであることを再度ここに明記いたします。)

 

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