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努力しても報われない閉塞感の正体はなんなのか | 日本社会の息苦しさを統計データより読み解く

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「努力しても報われない」

「どうせやっても無駄」

 

世の中に蔓延するそんな閉塞感。

口にはしなくとも感じたことのあるひとは多いだろう。

この閉塞感は、おそらくより拡大する傾向にあると僕は思っている。

  

そこで今回は、この社会に蔓延しているこの閉塞感の正体を、2つの統計データと1つの寄稿文から考察していきたいと思う。

 

資料1 

「日本人の国民性 第13次全国調査」の結果のポイント

(参考文献元:http://www.ism.ac.jp/kokuminsei/resources/KS13print.pdf

 

この資料からわかること 

→努力しても報われないという人は国民全体の26%に及ぶ。

→20歳代30歳代の男性では、3人に1人を超える割合。

 

これは大学共同利用法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所が出している、2013年度とすこし古い統計資料であるが、ここにこんな統計データと考察が掲載されている。

 

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“努力しても報われない” という人は、全体では1988 年の17%から2013年には26%へと10ポイント近く増加している。増加はどの性・年齢層でも見られ、特に20歳代・30歳代の男性では、1988年には4人に1人だった割合が、2013年になると3人に1人を超えている。

(引用出典:http://www.ism.ac.jp/kokuminsei/resources/KS13print.pdf

 

社会全体の約1/4が「努力しても報われない」と思っている社会。

しかもその割り合いは年々増加の一途をたどっている。

 

これはもう、日本というシステム自体が鬱になりかけているのかもしれない。

 

この統計が3.11の東日本大震災からまだ2年後の統計であり、アベノミクスがはじまってまだ1年あまりという、社会不安や経済的状況を差し引いてみても、この閉塞感に関するデータの中身はあまり好ましいものではない。

 

 

資料2 

特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~

(参考文献元:特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~|平成26年版子ども・若者白書(概要版) - 内閣府

 

この資料からわかること 

→日本の若者は自己肯定感が圧倒的に低い。

→日本の若者はチャレンジしない。

→日本の若者は無気力無関心。そして憂鬱。

→日本の若者は希望や幸せをイメージできずにいる。

 

これは内閣府が2016年にまとめた統計資料だが、日本の若者の意識がよくわかる興味深い統計資料だ。今回の記事に該当する図表を添付するのでよくみてほしい。そこには「諦め」をベースにした日本の若者の意識のフローが浮き彫りになっている。

 

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(図表出典:特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~|平成26年版子ども・若者白書(概要版) - 内閣府)

 

僕が若かった頃(第1期就職氷河期世代)も、若者は「無気力・無関心・無感動」の"3ナイ"なんて言われていたが、このように他国との比較データで明示されると、日本がいまどのような課題をその根底に抱えていて、それが今後どのような社会的影響をみせるのか、考えるだけで怖くなる。

 

そんな内面データが、社会問題への関与や自身の社会参加への意識の低さにもつながり、またそれが希望や幸せをイメージできないという結果にもつながる、負の連鎖の起点になっている。

 

そこに流れるのは諦め。

「なにをやっても所詮世の中変わりやしない」という諦観。

「だから無駄なことはしたくない」という傍観。

閉塞感そのものだ。

発信力のある若いインフルエンサーばかりが耳目を集めやすいが、実はそんな「インスタ映え」や「リア充アピール」などはどこか他人事と思っている層が、この統計からは見え隠れする。

 

そしてそこには「挑戦をゆるさない」「失敗をゆるさない」という日本の村社会が持つ不寛容な土壌が、いまなお色濃く影響していると僕は思う。

  

 また、この資料2の内閣府の調査は震災後5年、アベノミクス開始後4年と、社会不安および経済的状況もだいぶ改善されたとみてよい時期に集計された統計だが、その中身に大きな改善はみられない。

それはつまり、社会の閉塞感の主な原因は社会不安や経済状況以外にも存在するということを示している。

 

 

まとめ

→社会の閉塞感の原因は、階級社会化が原因なのか?

→閉塞感を打破するには自己肯定感をあげるしかない。

 

2011年に大竹文雄(大阪大学教授)によって東洋経済に寄稿され、当時非常に話題になった記事がある。

その中で氏が面白い推論を展開しているので、その一部を紹介したい。

 

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人生で成功するためには勤勉よりも運やコネが大事だと思っている人の比率を見ると、05年の時点で41%の人がそう思っていました。多くの国を並べてみると、どちらかというと運やコネが大事だと考えているグループに入ります。これは非常に予想外でした。

 (中略)

一方で中国は、運やコネが大事だと思っているのは25%。勤勉で成功できる国だと思っているのです。日本人の閉塞感は、大陸ヨーロッパで階級社会的な国、たとえばフランスやイタリアに近い。
 

(引用出典:就職氷河期の閉塞感は、市場競争に対する支持を失うという意味で非常に大きな問題点をはらんでいる--大竹文雄・大阪大学教授 | オリジナル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)

 

僕は昔から歴史が好きなのだが、人類の歴史をひとことで表現すると「階級闘争」につきると思っている。

 

多くの民が奴隷から農民になり、重い重税をとられ貧困に苦しみ、その苦しみから自由になるべく解放闘争をしてきた。その結果がいまの自由主義社会だ。

欧米をもちあげるつもりもないが、彼らはそうやって自らの手で自由を、そして選挙権を勝ち取ってきた。それが彼らのメンタリティの根源にある。だから、闘うことを恐れない。

 

それに対して日本は明治維新、そしてマッカーサーによるGHQ統治。その両方から市民が獲得した自由は自らの手で勝ち取ったものではない、与えられたものだと多くの歴史学者や社会学者は語る。

だから基本、その精神は保守的な農民のままなのだ。現状維持が最優先。お上のことなどしったこっちゃない。恵の雨は天から降ってくる。そんな他力本願寺。

 

 

貰えるものはありがたく貰っておくが、その裏にあるのは村の秩序を守るために「挑戦をゆるさない」「失敗をゆるさない」という暗黙の不寛容。

チャレンジ精神の欠如した社会。

 

そんな保守的な村社会ゆえに、階級社会をなんとなく受け入れ、それをよしとしてしまう土壌が日本には根強くあるのではなかろうか。

たとえそこに閉塞感を感じようとも、波風立てないことが美学であると。

 

昭和の高度経済成長期からバブルにかけては、その「階級という壁の乗り越え方」がまだわかりやすかった。

それは学歴だ。

大卒という肩書きだった。

今もある程度は「壁を乗り越える」のに機能する学歴だが、長期にわたる日本経済の停滞からそれに期待するほどの効果がなくなった現在、庶民にもわかりやすい「壁の乗り越え方」がなくなってしまっているのだと思う。

 

つまりは、

闘い方がわからないことへの不安。

それこそが閉塞感の原因だと僕は思う。

 

だったら、この閉塞感を打破するにはどうしたらよいのか。

それは、日々の暮らしの中から自分で探すしかない。

だって答え探しはいつだって難しいほど面白いんだから。

 

でもちょっと考えるとするならば、個人個人が小さな成功体験と失敗体験を積み重ねていくことがこの閉塞感を打破するきっかけになると思う。

社会が認めてくれなくてもそんなの関係ない。他人なんて関係ないんだ。

自分で自らの努力や成果を評価すれば、それだけでいいんだ。

  

大切なのは、自己肯定感をあげていくこと。

 

たったそれだけのことで、世界が変わってゆくような気がするよ。

  

過去と他人は変えられない。

しかし、いまここから始まる未来と自分は変えられる。

(by エリック・バーン) 

 

最後に。

漠然とした不安は誰もがもっている。

そんな不安をぶっとばすには自分の中の「何か」が変わらなきゃならない。

石田衣良の直木賞受賞作「4TEEN」は、そのことを思い出させてくれる青春群像物語だ。

 

14歳のフォーティーン。

未熟な10代のためのFor TEEN。

そして4人のティーンネイジャーの物語を意味する4TEEN。

 

漠然とした不安、閉塞感。

その中でもがく中学生の男子4人組が、小さな衝突や冒険を繰り返しながら、最後は大きな旅にでる。

その過程の中に、社会の、そして自分の閉塞感をぶっとばす「なにか」が描かれている。

若者だけでなく、おっさん世代にもオススメの良作だ。

気が向いたら、時間があるときにでも読んでみてほしい。

ちょっとだけスカッとして、元気がもらえるよ。

 

4TEEN (新潮文庫)

 

ああ…今日も無駄に長く語りすぎたね。 

それでは、また会える日を楽しみに…

See You!