二郎を食べて30年。
大学時代から実に四半世紀以上に渡る我が二郎人生。
多くのひとがこれまで二郎レポートをしているが、今回はより実践的に二郎攻略の初歩である発注までの作法を、まだ二郎ヴァージンのキミたちに捧ぐ。
来店の際の心構えとしてくれ。
初心者が感じる二郎店内の雰囲気
まずはじめにこれだけは言っておく。
「二郎は決してうまくない」
うまくないのだが、「あー、なんか、二郎な気分」になると、脳内に残る快楽信号が瞬く間に全身に行き渡り、身体を二郎へ向かわせる、そんな食べ物である。
二郎初心者は、まず店内の雰囲気にのまれ、ビビりやすい。
そこは一般的な外食産業にある憩いの場ではなく、店と客、ラーメンと客、そして客と客の戦場であるからだ。発する一言一言に神経を払う必要がある。舐められたら最後、冷たい視線がカウンター中から君を襲う。
コール(発注)の仕方
発注の仕方だが、まず二郎初心者は「小 しょう」から入るのがよいだろう。
小と言っても普通の1.5人前の量がある。
たまに舐めた初心者が「大 だい」を頼んでびびりまくるが、完食できなかった時の店員さんの視線には殺気さえ漂う。用心されたし。
麺茹でに入る頃、「お客さん、どうぞ」的ないざないの言葉が店主から降りてくる。
これは「トッピング、何にする?」といういみである。
フルトッピング系でいくならば、「野菜増し増し辛めニンニク増し増し」または「野菜ダブルニンニクダブル辛め」となる。「増し増し」は「トリプル」扱いの場合もあるのと同時に、俺は30年前から「ダブル」発注派なので「増し増し」発注する客がいると「けっ」と内心蔑む小さな男であるが、そんな客同志の声にならない目に見えない戦いも、また二郎の醍醐味である。
二郎のチャーシューについては賛否両論が昔からある。
だが、これはアレをチャーシューだと思うから起こる問題である。
アレは豚なのである。
そして、二郎の豚に恋するようになれば、君がジロリアンになる日も近いだろう。
俺のオススメする二郎の食べ方
長々と書いた。
最後に俺のオススメを書いておく。
豚ダブルの小ラーメンの食券を買い、腕組みをしてカウンターの客に睨みをきかせる
「おまえら、はやく食って席あけろや」と無言でプレッシング。
他の立ち客もそれぞれのゾーンにプレスをかけるので、ゾーンプレスに穴を開けてはいけない。
たまに立ち待ちの時に店主に声をかけられる場合がある。
「お客さん、小ですか」
ここで初心者はたじろぎやすい。
軽く食券を顔のあたりに上げ、「しょうっす」なんて軽くダジャレで返せたら、周囲のライバルたちも「おっ、こいつ、やるな」と一目置いてくれるだろう。
席につく。
その前にセルフの水をコップにいれて持っていくことも忘れてはならない。
そして、ついに店主から声がかかる。
「お客さん、どうぞ」
初心者はここでどう答えたらよいかわからずに焦ってしまいがちだ。
小さな声で発注し、「えっ?」と聞き直され更に慌てる様をよく見る。
ここは落ち着いて、ジーコが「シュートは、ゴールポストへのパスだ」と言っていたのを思いだし、渋く、冷静に、そして活舌よく、
「野菜ダブルニンニクで」
と、店主の目を見て言おう。
よーし、後は食うだけだ。
キミの二郎ライフが、その瞬間からはじまる。
さあ、怖いもの食べたさの二郎ヴァージンたちよ!
恐れることなく、いざ、二郎へ!
悪魔のささやきを放つスープがキミを待っている。
ほいじゃ、今夜はこんなところで。
See You!
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