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【 体験実話 】失恋ダイエット 第三話 | 東京、両国橋。寝そびれた一羽の海鳥が家路に向かう。

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 (【 体験実話 】失恋ダイエット 第一話 からお読みください。)

 

最も強い者が生き残るのではなく、

最も賢い者が生き延びるのでもない。

唯一生き残るのは、変化できる者である。

by チャールズ・ダーウィン

 

1.

貯蓄は肥えたことがないのに、身体はなぜか肥えてゆく。

 

そんな身体が肥大化することを許してしまう自分への甘えの精神こそ、人生をかけたダイエットでは退治しなければならないラスボスだ。

そいつを殴り倒さない限り、新しい自分には出会えない。

 

世の中には「そのままのキミでいて」なんて耳触りのよい歌が蔓延しているが、そんなものは売るための戦略的歌詞にすぎない。

だってさ、「そのままのボク」でいたからバツイチになって、さらに再婚手前で婚約破棄になったんだよ?

そんな奴が「そのまま」でいたって、幸せなんかつかめるはずがない。

幸せになりたいなら変化を恐れてはダメなんだ。

ダーウィンだって言っている。

「唯一生き残るのは、変化できる者だ」と。

 

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2.

そんなかっこいいことを思っていても、未練はなかなか断ち切れない。

それも現実だった。

何度も電話をかけようとしたし、ラインを送ろうともした。

が、送らなかった。

 

復縁テクニックのひとつとして「あえて連絡をとらない期間をもつ」というのもあるのは知っていたが、別にそれに感化されたわけではない。

ただ未練は基本的に自己憐憫の延長にあるわけで、そんなかっこ悪い姿を再び彼女の前に晒すなんて僕にはできなかっただけだ。

 

そんな葛藤の日々を僕は失恋ダイエット板にこうつづっている。

 

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 (引用元:失恋ダイエット 俺が自分で書き込んだレス)

 

仕事先にいくと「病気?」「もしかしてガン?病院行った?」などと言われるほど、この頃の僕の見た目には変化がでてきていた。

しかし、その中身はまださほど変化はしていなかったと思う。

当たり前だ。

たった五週間程度の時間にひとが本質を変えられるほど世界は甘くない。

そう、人間は変わりにくいんだ。

「そのままの自分」とかいうクソッタレが、隙あらばモラトリアムへ誘う。

罪悪感が軽くなるにつれ、また甘えが芽生えはじめる。

 

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(引用元:失恋ダイエット 俺が自分で書き込んだレス)

 

 

 3.

時はながれ九月上旬。

その日は雨が降っていた。

深夜、いつものごとく走りにでる。

小雨の中を走るのは実にここちよい。

淀んだこころのゴミまでもキレイに洗い流してくれるような感覚がある。

 

実はこの日から遡ること数日前、友人から北アルプスに誘われた。

東銀座のとあるカジュアルフレンチ。

四十過ぎの独身男がふたり。

店の外にでているテーブルに腰掛け、シードルと熱いカフェラテをのみながら婚活サイトへの入会を検討する。

しかもこの店は、僕が彼女にプロポーズしてOKをもらった因縁の店。

なかなかシビれるシチュエーションでしょ?

 

そのとき飲みかけのカフェラテを一気飲みしたあと、友人がふとこぼした。

「そういえばさ、今月末、海上さんと北アルプス登るんだけど一緖に来る?」

「え、北アルプス?登れんの?俺みたいな初心者が」

「わかんないけど、常念とかいう山に登るんよ。紅葉が最高だってさ」

「え、ちょっと待って、常念って山のなまえ?」

「そそ、坊さんのなまえだっけかな、昔の」

「行く。一緖に行く。その常念って名前がいい、ほんといい」

即決した。

 

秋の北アルプス。

見たことのないような紅葉を眼下に見下ろすとき、きっと新しい何かが自分の中に生まれるだろう。

 

そう信じて、小雨の中、僕は走っていた。

 

イヤホンからは「夢見る頃を過ぎても」が流れる。

ヒルビリーバップス。

かつての親友が好きだった曲で、あの頃、よく車の中でかかってた。

最近よくこの曲を聴きながら走っている自分がいる。

過ぎたような、過ぎてないような。

相も変わらぬ時間の刻み。歪み。

そんな未成熟さへの誇りと成熟への憧れの狭間に揺れながら、両国橋の真ん中で足をとめ、境界の上で空を見上げる。

夜空に溶け込みながら、寝そびれた一羽の海鳥が家路に向かってた。

 

おまえも迷子か

俺もだよ

 


夢見る頃を過ぎても / HillBilly Bops

 

(つづく)

 

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